美と愛の女神アフロディーテの美の女神としてのエピソードでは、「パリスの審判」などが有名です。
ある時、大勢の神々が集まって宴会が開かれました。
エリスという争いの女神は招待されていませんでした。エリスがいると争いが起きるからです。
しかしエリスは、招待されなくてもしっかりと力を発揮しました。宴会場を訪れ、「最も美しい女神へ」と書いた黄金のリンゴを放り投げたのです。
争いの女神らしい効果的な方法でした。やがてエリスの思惑通り争いが始まりました。
ヘラ・アテナ・アフロディーテの3人の女神が、誰が一番美しいかを巡って言い争いました。
第三者に決めさせることとなり、人間界のパリスという羊飼いが審査員となりました。
女神たちはパリスを買収しようとします。
ヘラは「私を選んだら、全ての国の王にしてあげましょう。」
アテナは「私を選んだら、どんな戦いにも勝てる知恵と勝負運を与えましょう。」
そしてアフロディーテは「権力よりも勝利よりも、女の方が価値がある。アフロディーテにそっくりな美しい女を妻にしてあげましょう。」
パリスは、ヘラとアテナの提案を聞いて迷っていましたが、美しいアフロディーテの言葉を聞いて「アフロディーテ」と即答しました。
こうして最も美しい女神はアフロディーテに決まりましたが、この後ヘラとアテナの反撃が始まり、全人類を巻き込む戦争「トロイア戦争」に発展します。
パリスの判定によってトロイア戦争が発生した神話にちなんで、予想外の判定や、思わぬ事故を招く判断のことを「パリスの審判」と言うことがあります。