ヘパイストスは自分の技術で成り上がり、オリュンポスの女王ヘラと取引をして、神々の中で一番の美女アフロディーテを妻にしました。
しかし、無理矢理に醜男と結婚させられたアフロディーテはたまったものではありません。
アフロディーテはヘパイストスでは満足できませんでした。「どうしてこの私がこんな奴と…」という思いがつきまといました。
その結果、アフロディーテは不倫という方法を選びました。愛人に選んだのは戦の神アレスでした。アレスはヘパイストスと違って容姿端麗でワイルドな魅力があり、アフロディーテの好きなタイプでした。
ヘパイストスが出かける度に、アフロディーテはアレスを家に招いて情事にふけっていました。
ある日、太陽の神ヘリオスは、ヘパイストスがかわいそうになってアフロディーテの不倫を教えてやりました。ヘリオスはこの世界で起きていることを全て観察できたのです。
ヘパイストスは再び復讐を決意します。
ヘパイストスはアフロディーテのベッドに細工を施しました。そして出かけたふりをして、アレスが来るのを待っていました。
いつものようにアレスがやってきます。
アフロディーテがアレスをベッドに誘い、二人が服を脱いで交わり始めると、細工が発動しました。二人は裸のままベッドに鎖で縛り付けられて身動きがとれなくなりました。
ここでヘパイストスは大声で他の神々を呼びました。
アフロディーテとアレスは笑い者になりました。
ヘパイストスはしばらく二人をそのままにしておきました。
アポロンは、「たとえこんな恥ずかしいめにあったとしても、君はアフロディーテと交わりたいか?」ヘルメスに聞きました。
ヘルメスは「アフロディーテと交われるなら、もっとはずかしいめにあってもいいさ。」と答えました。
ヘルメスは、商売・嘘・泥棒の神で、神らしくないずけずけとしたことを言ったりします。
このエピソードのように、ギリシャ神話の神々は、ゼウス以外の神も不倫や浮気をするし、ヘラ以外のキャラクターも嫉妬や復讐をします。基本的にギリシャ神話はドロドロしたエピソードで構成されています。 アフロディーテの不倫をヘパイストスに教えた太陽の神ヘリオスも、太陽神と言うと格調高く聞こえますが、不倫や愛憎劇が多いギリシャ神話においてはパパラッチのような働きをすることがよくあります。