第5話 ガイアの逆襲

大地の女神ガイアの采配で、ゼウスはクロノスとその兄弟姉妹を倒し、冥界タルタロスに閉じ込めました。

しかしゼウスは少々やり過ぎました。クロノスの母であるガイアは反撃してきました。

ガイアは大地と交わってギガスという巨人を何人も産み、ゼウスたちと戦わせますが、この戦いもゼウスたちが勝ちます。「巨大」を意味する「ジャイアント」「ギガ」「ギガバイト」の起源はギガスです。

ガイアは最後の手段として冥界タルタロスと交わります。悪の力を取り入れた禁じ手のようなものです。

ガイアとタルタロスが交わって生まれたのは、テュポンという巨大な怪物でした。立ち上がると頭が空に届き、両手を広げると世界の西の果てと東の果てに届くほど巨大でした。口から火を吹き、肩から無数の蛇が生えていました。

この怪物が強敵で、ゼウスも苦戦を強いられます。

ゼウス以外の神は動物に変身してエジプトへ逃げました。このためエジプトの壁画には神が変身した動物が多く描かれていると考えられています。

また、アフロディーテ(別名ビーナス)とエロス(別名キューピッド)は魚に変身して泳いで逃げました。星座の魚座はこの時の様子を描いています。「パニック」の語源となった「パン」という神は、変身しそこねて上半身がヤギ・下半身が魚になり、やぎ座になりました。

ゼウスは、一時期は手足の腱を抜き取られて動けなくなりました。動けないまま洞窟に閉じ込められて別の怪物に見張られ、追い詰められます。

ここで商売と泥棒の神ヘルメスがゼウスの腱を取り返し、動けるようになったゼウスはテュポンを追っていき倒します。

最後はイタリアのシチリア島まで追いかけていき、エトナ山(ヨーロッパ最大の活火山)を投げつけて地面に封じ込めました。とどめを刺すことができなかったため、今でもテュポンは生きていてエトナ山は噴火を続けている、と古代ギリシャ人は考えていました。

最終兵器テュポンを倒したところでガイアも降参し、ゼウスが世界の支配者となりました。

ティタンは「タイタニック号」、ギガは「ギガバイト」や「ジャイアント」、テュポンは英語読みが「タイフォン」なので「タイフーン」「台風」、と巨大な物の語源となりました。

第6話 ギリシャ神話の黒幕

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