ギリシャの都の王様は、「娘が産む子どもに滅ぼされるだろう」という予言を恐れ、一人娘ダナエを青銅の高い塔の最上階に監禁しました。しかしゼウスが黄金の雨になって侵入しダナエと交わったため、ダナエは子ども(ペルセウス)を産んでしまいました。王様はダナエと赤ん坊のペルセウスを木箱に入れてエーゲ海の大海原に流しました。
ダナエとペルセウスが詰められた木箱は、奇跡的に有人島に辿り着き、この島のディクテュスという漁師の網に引っ掛かりました。ダナエとペルセウスは誠実なディクテュスの保護下で暮らし、ペルセウスは勇敢な若者に育ちました。(ちなみにディクテュスとは「網の男」という意味です。)
ディクテュスにはポリュデクテス(ややこしい名前ですが)という兄がいました。ポリュデクテスは島の王だったのですが、誠実なディクテュスと違って暴君でした。ポリュデクテスはダナエを狙っていて、ペルセウスは母を暴君から守っていました。
ある時、ポリュデクテスはペルセウスの存在が邪魔になり、ペルセウスを消すために罠をしかけました。
ポリュデクテスは富裕層を集めて宴会を開き、全参加者は馬を1頭献上するよう求められました。ペルセウスもこの宴会に呼ばれましたが、ペルセウスの家は母子家庭のようなもので、馬を買うお金がありませんでした。ペルセウスは見栄を張って「馬は持っていない。ゴルゴンの首ぐらいなら取ってこれるのに。」と言いました。
ポリュデクテスはこの発言につけこみ、「では、馬は要らないから、代わりにゴルゴンの首を持ってきてもらおう。」と言いました。
ゴルゴンとは世界の西の果てに住んでいる3姉妹の恐ろしい怪物です。髪の毛の代わりに蛇が生え、鋭い牙を持ち、見たものを石に変えてしまう力を持っています。ゴルゴン3姉妹のうちの一人が有名な「メデューサ」です。映画やゲームのキャラクターで出てくる、見たものを石に変え、頭から蛇が生えている女の怪物は、ギリシャ神話のこの部分で登場します。
ペルセウスはメデューサ退治に出かけました。