第3話 火を盗むプロメテウス

人間の味方であるプロメテウスは、ゼウスをだますべく、牛を使って一計を案じました。

これに激怒したゼウスは、人間界から火を取り上げました。

火の使い方はプロメテウスが人間に与えた大きな知恵の一つであり、古代ギリシャ人の生活に欠かせない道具でした。火が無ければ牛肉を焼いて食べることもできませんし、電気も無い時代なので夜は真っ暗でした。人間たちは困り果てました。

すると、プロメテウスは、ゼウスから火を盗み、人間の世界まで運び、人間に返しました。

この時、プロメテウスは、オオウイキョウという植物の茎の中に火を隠して運んだと言います。この植物は、茎の内側の芯の部分は火をつけると燃えますが、外側の層は水分を多く含んでいるため火が外にもれることがありません。実際に、古代ギリシャ人は、火の着火や持ち運びにオオウイキョウを用いていました。プロメテウスが人間に与えた知恵の一つだったのです。

1637年 「火を運ぶプロメテウス」 ヤン・コシエール プラド美術館

歴史や考古学などで、「人類は進化の過程の中でいつの時点から火を使い始めたか」という問題が考察されることがありますが、古代ギリシャ人は「プロメテウスが人間に与えた」と語りました。そして、火が文明の発展に寄与したという認識は、プロメテウスという神の偉大さに反映されていました。

プロメテウスの神話を知ると、東京ディズニーシーの「プロメテウス火山」の意味も自然と分かってきます。

プロメテウス火山は、東京ディズニーシーの中心にそびえたち、パーク内のどこからでも見える圧倒的な存在感があります。ミッキーに聞いたわけではありませんが、おそらく「プロメテウス」と「火」に着想を得てデザインしたのでしょう。

第4話 最初の女とパンドラの箱

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