第2話 カサンドラの予言

カサンドラというトロイア(今のトルコ)の王の娘がいました。

アポロンはカサンドラを愛人にしようとしました。

アポロンはカサンドラを抱き寄せ、カサンドラは、神に逆らったら恐いのでとりあえず受け入れました。

アポロンは、「私の愛人になれ。そうすれば未来を予知する能力を与えよう。」と言いました。

カサンドラは承諾しました。しかし、アポロンに抱かれることにまだ恐れがありました。本当に未来を予知できるかどうかも分かりません。

そこでカサンドラは、アポロンの愛人になって自分は幸せになれるのか、未来を予知してみました。すると、ひどい扱いをされる未来が見えました。アポロンに抱かれても自分はしあわせになれないことが分かり、カサンドラは走って逃げ出しました。

アポロン:「待て!」

カサンドラは逃げました。そして、神々の掟により、一度人間に与えた能力は取り上げることができません。

アポロン:「人間め。せっかく未来予知の能力を与えてやったのに。仕方が無い、こうしてやろう。」

アポロンは、誰もカサンドラの言うことを信じなくなる呪いをかけました。

こうして、カサンドラは毎回正確な予言をするのに、誰も信じてくれなくて惨めな思いをすることとなりました。ストーリーの整合性や、オチへの持っていき方が、ギリシャ神話の脚本のすごいところです。

ギリシャ神話終盤のトロイア戦争の「トロイの木馬」の場面でも、悲劇がカサンドラを襲います。

トロイアの兵隊たちが、巨大な木馬を城壁の中に入れようとしていたのですが、木馬の中には敵国ギリシャ軍の兵隊が隠れていました。

カサンドラは、ギリシャ軍が仕掛けた罠だと気づき、「その木馬を城壁の中へ入れてはいけない!ギリシャ軍の罠だ!」と懸命に叫びましたが、誰も信じてくれませんでした。そしてトロイアは破滅します。

カサンドラのエピソードでは、アポロンの短気さや残酷さがよく表れています。

第3話 ヒュアキントス

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