ヘラ:「この小娘が!そうやって永遠に他人の言葉を繰り返すがいい!」
ヘラの呪いによって、エコーは、普通に会話をする力を奪われ、相手が発した言葉の末尾を繰り返すことしかできなくなってしまいました。
後日、エコーは、森をさまよっていた時に、ナルキッソスという美青年をみつけました。話しかけたいと思いましたが、呪いのせいで言葉を発することができません。ナルキッソスが何か喋ればエコーも声は出せますが、その場合も末尾を繰り返すことしかできません。
ナルキッソス:「何だ、お前は。」
エコー:「何だ、お前は。」
ナルキッソス:「変なやつだな。あっちへ行け!」
エコー:「あっちへ行け!」
これでは進展するはずもありません。ナルキッソスから煙たがられる一方です。エコーはだんだんやつれて身が細くなり、最後には実体が無くなって音だけの存在になりました。姿は見えず、近くで鳴った音を繰り返すだけの存在となりました。
こうしてこの世にエコーが生まれました。 →第1話 エコーとナルキッソスの科学